■横型2.六弁花文と小花文が咲き誇る、宝相華文の小宇宙
この文様について
北倉042 平螺鈿背八角鏡 第9号
六弁花文と小花文が咲き誇る、宝相華文の小宇宙
花心や花弁に琥珀をあしらった豪華な円鏡の絵柄。鈕、つまり鏡の中心部分には螺鈿細工の六弁花文があり、上下左右に置かれた4つの宝相華文は目を引く。 |
|
さらに玉を連ねた連珠文様が外側を囲み、花文による小宇宙を際立たせている。 |
|
その外側にはより大きな宝相華文が4つ置かれ周囲にはハート形に琥珀を象ったような小花文や方形文が配されている。現物の宝相華の花芯には緑彩の、花弁には朱彩の伏彩色を施された上に琥珀が貼られている。元となった円鏡は5つの破片を元に明治時代に接合修復された。 |
この歌について
鏡王女の和し奉りし御歌一首
秋山の 木の下隠り 行く水の
吾こそ益さめ 思ほすよりは
(鏡王女、巻2・九二)
秋の山の、木の下を隠れて流れていく水のように、たとえ見えなくとも、私の思いの方がまさっているでしょう、私をお思いになる量よりも。