■縦型5.弦楽器に描かれた豊かな果実と草花に囲まれた双鳥の情景

この文様について

南倉177 筝残欠 第4号 竜舌
弦楽器に描かれた豊かな果実と草花に囲まれた双鳥の情景

正倉院の残欠の中には形状等から見て楽器の部位と推測されるものがある。中でも南倉177に分類されている楽器は弦楽器の残欠だ。筝は対称性が高い造形特微を持つ楽器ゆえ、その絵柄もシンメトリックだ。そして紫檀貼・金箔押・木画・彩絵などの手法によって様々な装飾が施される。この絵柄には五弁花文、金と銀で表された花文、草文、そして果実をついばむように佇む双鳥などの文様があしらわれている。黒をベースに描かれる牧歌的かつ詩的な絵柄からは、楽器の雅やかな音色が想像される。

この歌について

山部宿禰赤人の
春日野に登りて作りし歌一首より

春日を 春日の山の 高座の
三笠の山に 朝去らず
雲居たなびき
容鳥の 間なくしば鳴く……

(山部赤人、巻3・三七二)

春の日のかすむ、春日(かすが)の山の、高座(たかくら)の御笠(みかさ)のような三笠(みかさ)の山に、朝ごとに雲がたなびき、容鳥(かおどり)が間断なくしきりに鳴く…

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