■縦型2.称徳天皇が大仏への献納時に用いた几褥の文様

この文様について

南倉150 褥類 第18号 几褥白綾(葡萄唐草文白綾)
称徳天皇が大仏への献納時に用いた几褥

表に葡萄唐草文の白綾、裏には浅緑地に鹿ノ子の絞り染めを張った絁の褥。これは西方起源の文様として、度々正倉院の倉に登場する葡萄文唐草をあしらった絵柄である。勢いよく伸びる茎や力強く巻いている蔓などの文様。そこには奈良時代らしい生命の息吹が溢れている。褥の一角に「以って神護景雲2年4月3日 幸行獻大仏殿 東大寺」と墨書がある。つまり、称徳天皇が東大寺に行幸した際に、大仏への献納物を乗せた机の敷物として、この褥が用いられたことを意味する。このような献納物を乗せる敷物を献物几褥と呼ぶ。

この歌について

長皇子と志貴皇子と、佐紀宮に倶に宴せし歌

秋去らば 今も見るごと 妻恋ひに
鹿鳴かむ山そ 高野原のうへ

(長皇子、巻1・八四)

秋が来るといつも、いま私たちが見ているのと同じように、妻を恋しがって鹿が鳴く山なのですよ、この高野原の上は。

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