■横型3.錦製の琵琶袋に残されたふくよかな唐花文
この文様について
南倉103 琵琶袋残欠
錦製の琵琶袋に残されたふくよかな唐花文
残欠とは、書物や小物など、一部が欠けて不完全なこと、またはそのものを指す。この絵柄の実物は錦製の琵琶を収めていた袋の残欠であるといわれている。絵柄は残欠に描かれていた径約53cmの大集花文と菱形文様の副文で構成されていたが、単体でも見応えのある主文だけをデザインとして見せている。こうした華やかで豪華な集花文は中国に於いて初唐の頃に生まれ、成熟してきた文様で唐花文と呼ばれている。様々な花葉が重なることで生まれるふくよかな様子が、日本でも好まれて流行することになった。 |
この歌について
山部宿禰赤人の
春日野に登りて作りし歌一首より
春日を 春日の山の 高座の
三笠の山に 朝去らず
雲居たなびき
容鳥の 間なくしば鳴く……
(山部赤人、巻3・三七二)
春の日のかすむ、春日(かすが)の山の、高座(たかくら)の御笠(みかさ)のような三笠(みかさ)の山に、朝ごとに雲がたなびき、容鳥(かおどり)が間断なくしきりに鳴く…