■縦型3.大団文が描かれた幡にのびやかに舞う唐草花鳥文
この文様について
南倉185 花鳥文夾纈絁大幡残欠
大団文が描かれた幡にのびやかに舞う唐草花鳥文
白地に藍、緑、茶などを使い、折り重ねた布を染める夾纈の手法で作られた大型の幡(旗)の残欠の大きい方の絵柄。元の幡は身の最長片は約8.5m、幡脚の最長片は6.3mというスケールの大きな幡であった。淡褐色の地に赤褐色と黒紫色で八花文を3重にあしらわれ、上下2つの大団文が構成されている。2つの大団文の間には緑色が加わって唐草花鳥文があしらわれ、絵柄の中心を境に上下のシンメトリーを作っている。尾が長い花喰鳥は優雅な佇まいを漂わせ、計4羽が唐草文や大団文の周囲を伸びやかに飛ぶ。絵柄におおらかで明るい印象を与えている。 |
この歌について
天皇、香具山に登りて望国したまふ時の御製の歌<
大和には 群山あれど とりよろふ
天の香具山 登り立ち
国見をすれば 国原は
煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ
うまし国そ 蜻蛉島 大和の国は
(舒明天皇、巻1・二)
大和にはたくさんの山があるが、その中で草木が茂ってみごとに装っている天の香具山に登り立って国見をすると、国原にはかまどの煙が次つぎと立ちのぼり、海原ではかもめがしきりに飛び立つ。良い国だぞ、蜻蛉(あきづ)島の大和の国は。