■横型12.八弁花を中心に広がる雄大で豊かな唐花文

この文様について

南倉180 縹地唐花文錦
八弁花を中心に広がる雄大で豊かな唐花文

実物は直径約44センチほどの緯錦である。縹地に唐花と唐草文が描かれ、その周囲に紫地花文錦の緑がめぐらされている。裏には全面に赤い絁が貼られている。もともとは直径60センチほどの円形の褥、あるいは箱などの内側に敷くための敷物であったと思われる。ここでは花心部分に上下2個ずつ珠を配した八弁花を中心に配し、周囲に8個、さらにその外縁に8個の草花文を配置して構成。紫地花文錦の縁と背景色を省いて白地に文様のみで構成。橙色と薄橙色の文様を基調に、中央から放射状に広がる雄大で豊かな構図が特徴。

この歌について

鏡王女の和し奉りし御歌一首

秋山の 樹の下隠り 行く水の
吾こそ益さめ 思ほすよりは

(鏡王女、巻2・九二)

秋の山の、木の下を隠れて流れていく水のように、たとえ見えなくとも、私の思いの方がまさっているでしょう、私をお思いになる量よりも。

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